ミャンマーの医療を支援する会
活動報告(2023年1月〜12月)
2020年初めからの新型コロナウイルス感染拡大と2021年2月の軍によるクーデターによって訪緬は困難でしたが、9月24日から3年半ぶりにミャンマーを訪れました。ビザなしからビザの必要な渡航になり、東京-ヤンゴンの直行便はなくなってバンコク経由です。新潟ロータリークラブの徳永昭輝先生とご一緒でした。
9月25日にサンピュア病院で新潟ロータリークラブから医薬品が贈呈されました(図1)。市民抵抗運動で職場を去る職員が相次ぎ、800人から300人に激減していました。入院患者も外来患者も激減し、病院はがらんとしていました。聞こえるのは「人も物資も足りない、お金もない」という切実な声でした。
9月26日にヤンゴン第二医科大学を訪問。研究室には十数年前に私の研究室から運んだ古いPCR機器も置いてあります。驚いたことにそれらの機器が今も活躍していました。病理診断に必須の免疫染色用抗体45種(ニチレイバイオサイエンス社提供)を渡しました(図2)。
ミャンマーでは抗体は非常に高価で入手困難です。抗体の活用についてチン教授が免疫染色の部厚い報告書を見せてくれました。ミャンマーで限られた抗体を用いてこれだけやっていることは特筆に価します。抗体を運び始めてから10数年、間違いなくミャンマーに免疫染色が定着し、ここがそのセンターになっています。救いがたいミャンマーの医療の中で一筋の光を見た思いでした。医学書9冊を贈呈し(図3)、私は病理診断の講演をしました。
9月27日には第一医科大学に抗体を供与し、医療崩壊に近いミャンマーの医療を支え続ける決意を胸に帰国しました。
内藤 眞