にいがたNGOネットワーク(Nネット)会報2012年1月号に掲載予定の内容です。 

2012年秋、かねてから依頼されていた良寛様の「月の兎」がようやく多言語紙芝居になりました。 あまりにも美しく悲しいお話に脚色・作画のスタッフは一年以上悩みましたが、翻訳など多くのボランティアの皆様の熱いご協力を頂いてお陰さまで2012年春にはインド・マダガスカルはじめ新大留学生の方々の母国でも、子どもさん達に楽しんでいただけるでしょう! 今回は「世界の文化」授業の中で彩色くださった高校生35名のすてきな手作りメッセージも一緒にプレゼント! (みんなでしあわせに)の思い込めて1ページずつ貼り合わせています。現地スタッフの方へ手渡しのお願い出来ます方、ご出発の1ヶ月前にどうぞご連絡を!メンバー一同お待ちしております。

                                  


『月の兎』 脚色 夢の橋

ずっとずっと、ずっと昔のテンジクという国のお話。

ある日、
天の神様の耳に下界のうわさが届きました。

神様「なになに?
猿と兎と狐が兄弟よりも仲良く暮らしているじゃと?
人間同士でもケンカばかりしておるのに
感心なことじゃ。
どれ、ひとつためしてやろうかのぉ。」

そう言うと、乞食の姿になり
下界に降りていきました。




乞食の姿をした神様は、
おなかがすいて、苦しそうな様子で
石に腰掛けていました。

そこへ、仲良しの三匹がやってきました。

神様は、
「わしは何日も何も食べていず、
今にも死にそうなのじゃ。
どうか、このあわれなわしを救ってくださらんか。」
と言いました。



すると、猿は
「林から木の実を集めてきました。どうぞ食べて下さい。」
狐は、
「川で魚を取ってきました。
どうぞ食べて下さい。」
と言い、乞食に食べさせました。

乞食姿の神様は、
「おかげさまで命が助かりもうした。本当にありがとうのぉ。」
と喜びました。

ところが、
兎だけはあちこち飛び回っているだけで
何もしてくれません。



神様は兎に、
「兎さん、
兎さんも、このあわれなわしに
何か恵んでくださらんかのぉ。」
と言いました。

兎は、
「はい、私も何かしたいのですが、
猿さんや狐さんのような知恵もなく
どうしたものかと思っていました。」
と、しばらく考え込んでいましたが、
何か思いついたようで

兎「猿さん、
ここに枯れ枝をたくさん積み上げてくれないかい。
狐さんは、
それに火をつけてくれないかい。」
と言いました。



兎は
「旅のおじいさん。
私には働きも知恵もなく何もしてあげられません。
せめて、私の焼けた肉を食べてください。」
そう言うと、
なんと!
燃え上がる火の中に飛び込んだのでした。



神様は、
「な、なんと・・・。
かわいそうなことをしてしまった・・・。

どうして、
こんな立派なお心の方の肉を食べられようか。」
と言い、
焼けただれた兎を抱きあげ泣き続けました。



神様は天に昇り、
兎を月の御殿におまつりになりました。

月の中に兎が見えるのは、
こういうお話があったからなのですね。

=おわり=
                   
「月の兎」 中国語・英語・ベトナム語・ロシア語・モンゴル語・韓国語・スペイン語・インドネシア語・フランス語
                                                         
夢の橋・荒川久美子

情報掲載:
にいがたNGOネットワーク
にいがたNGOネットワーク活動報告ブログ
ツイッター@niigatango