2015年7月末、サイクロン・コメンがミャンマー西側のラカイン州、チン州、サガイン地域、マグウェー地域で大洪水を引き起こし、被害は14州にも拡大する大規模災害となった。国内外からの支援活動が行われたが、広域であることから支援の手は行き渡らず、多くの被災者が今も苦しんでいる。ヤデナ医師をはじめ、ミャンマーの医療関係者も支援活動を続けている。
2008年のサイクロン被災時と同様、被災地の感染症は大きな問題となっている。本会としては薬品と見舞金を届けることにした。ヤデナ医師には抗生物質と見舞金1000ドルを届けた。さらに渡部久実教授が10月12日にネピドーの保健省へ打ち合わせに行った際、抗生物質と見舞金2000ドルを副大臣に届けてもらった(図1)。
 
 今年から新潟大学のミャンマー感染症研究プロジェクトがスタートし、ヤンゴンのミャンマー国立衛生研究所(図2)に新潟大学研究拠点を準備中である。私がミャンマーの医療支援を始めてから15年経つが、支援と平行してミャンマーのパートナーと行ってきたインフルエンザの共同研究が評価され、日本のアジア・アフリカ感染症研究ネットワーク・ミャンマー拠点に採択された。2016年3月には研究拠点の開所式がヤンゴンでとり行なわれる。
 
ミャンマーでは11月8日に総選挙が実施されてスーチーさんの率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝し、来春にも政権が交代して民主化のさらなる進展が期待されている。ミャンマーの医療も改善されることを願うが、最近ヤデナ医師から私が受賞した「米百俵賞」の副賞を気管支鏡の修理にあてさせてもらったとメールがあった。活況に湧くミャンマー。しかし、医療にまで経済発展の光が届くまで、どの位時間がかかるのだろうか。

図1 保健省で薬剤と見舞金を寄贈する渡部先生(ミャンマープロジェクト拠点長)(左)
 
  
図2 国立衛生研究所前で(右端:ヤデナ医師、右から2人目:筆者) 
 
                   内藤 眞

情報掲載:
にいがたNGOネットワーク
にいがたNGOネットワーク活動報告ブログ