最近国際関係で最も憂慮すべき課題はイスラム国 のテロであろう、無差別に殺戮を繰り返し先進国との間でし烈な戦闘を続けている。イスラム国のテロ行為が難民を生じさせ、難民に交じってテロを誘発するという悪循環を繰り返している。なぜこんなことになったのだろうか。戦後インドがイギリスから独立〈1947年〉するにあたって、激しい動乱が繰り返されパキスタンとインドに領土を分割させられた。その際イスラム教徒はパキスタンに、ヒンドゥ教徒はインドにと別れ、インドからパキスタンに550万人のイスラム教徒が、パキスタンからインドに550万人のヒンドゥ教徒が隊列を組んで牛車に引かれとぼとぼ逃げまどい移動したのである。しかし現在のイスラム国のテロも貧困、富の偏在、複雑な差別意識など根深いものを内包して、その不満を世界全域に広げているのである。イギリスのユーロー脱退問題も主要原因は増え続ける移民問題がある。
“貧困は平和への脅威である”この言葉は2006年度にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスの言葉である。言い得て真なるものを感じると思う。
「世界の人口の半分は1日当たり2ドル以下のお金で生活している。一方およそ10億人が、1日あたり1ドル未満で生活している・・・1日99セント以下の生活とはどんなものだろう。幸いなことに日本では考えられないが、今我々が1日100円で暮らさなければならないと考えれば想像がつくであろう。
貧困の状態を詳細に分析し、貧困と闘う基本的な方策を記述したのが「貧困経済学」(著者アブヒジットVバナージイ、エッシャーダブロ)である。貧困から脱却するため医療・環境、教育、金融などあらゆる面で解決しようという試みが進んでいる。途方もない努力が求められるが全世界が取り組むべき重要な政治課題である。
                   Nネット顧問 本間栄三郎