私どもはミャンマーの医療支援と並行してインフルエンザの調査研究をミャンマーのパートナーと共同で行ってきた。私の定年後の2015年に新潟大学とミャンマーの感染症研究プロジェクトが感染症研究国際展開戦略プログラムに採択され、2016年3月にヤンゴンに新潟大学ミャンマー感染症研究拠点ができた。11月2日には新潟大学医学部で「第1回日本・ミャンマー合同シンポジウム」が開催された(写真1)。ミャンマーから4名の共同研究者が参加し、支援活動のキーパーソンのヤデナ医師も来日した。シンポジウムでは研究成果が多数発表され、盛会だった。ヤデナ医師は私の最初の訪緬の写真を出して、新潟とミャンマーの16年の歴史を話した(写真2)。小さな医療支援から新潟大学の感染症プロジェクトに至ったのはヤデナ医師の献身的努力に負うところが大きい。ヤデナ医師はわれわれの支援に感謝の意を表したが、感謝しなければならないのはわれわれの方であると思っている。
写真1 シンポジウム会場の筆者(中央)とヤデナ医師(右)。  
写真2 発表するヤデナ医師
私は2016年後半には訪緬する機会がなかったので、支援金を直接ヤデナ医師に渡した。ヤデナ医師からは前回の支援金の使途を示す酸素ボンベや生検針など消耗品の領収書を受け取った。それを見るとミャンマーの医療状況にまだ改善の様子はないと思われた。ヤデナ医師の病院は半年前に増築工事が行われていたが、予算がなくなり、設備を入れる見通しがまだ立たないという。次回は、病院の状況をよく見てこようと思っている。
内藤 眞
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