【スタディツアー参加助成金交付学生感想文】
 団体:民際センター・新潟ドナー連絡会
 事業:タイ東北部ダルニー奨学金大学生バレーボール研修
 日程:2019年8月27日〜9月5日
タイでのバレーボールを通じた支援活動
新潟大学法学部2年 渡邊 将大
 今回の活動では、タイ東北部にあるサコンナコン県やロイエット県の学校を巡り、バレーボールやバレーシューズ、ユニフォームの寄付や、技術的指導、現地の高校生との交流試合、奨学生のリサーチなどを行った。
 特に、奨学生の自宅を訪問したことは印象に残っている。彼らの家にちゃんとした壁があるわけではなく、丈夫な布がかけられているだけで、雨風が凌げるかどうかというものだった。また、奨学生と同居する親族も無職というケースが多く、周りに住む親戚たちに食べさせてもらっている状態だった。
そして、奨学生の子が女性であると、家で家事を任せられていて、進学のため家を出ることに否定的な親族も多いという現状をまざまざと感じた。しかし、進学しないと働いたとしても給与は少なくなり、貧困から抜け出すことは難しくなる。この問題に関しては、当事者間でしか解決できないが、とてももどかしく思った。
他方、貧しい=不幸ではないことに気づかされた。日本はタイより経済的に発展しているが、日本人がタイ人より幸福だとは必ずしもいえない。娯楽施設が整っている、物が豊富にあるなどといったことは、幸せと感じる一要因であるが、それがすべてではない。タイの子供たちと接してみて、初対面の私たちにも無邪気に笑顔を向けてくれたことがとても嬉しかった。
私たちが寄付したバレーボールは1個あるだけで、たくさんの子供たちがともに遊ぶことができる。また、使用済みのバレーボールとはいえ、MIKASAやmolten製の正規品である。主に、安い偽物のバレーボールや型落ちのB級品が使われているタイでは正規品であるというだけでも感動された。バレー部の子供たちはもちろん、バレーボールを初めて触るであろう子供たちも楽しそうにボールを触っていて、ボールが持つ力というものを感じた。
実際に経済的に恵まれていない子供たちと交流し、日本で不自由なく生活を送ることができている私に何ができるのか考えた。日本に帰ってから、民際センターのダルニー奨学金というものを知った。一口14400円で現地の子供の1年間の学費を支援できる。まだ学生で社会人のような収入のない私だが、アルバイト費から1年に一度程度であれば捻出することはかなり現実的な金額といえよう。今回、同行させていただいた畑さんのように、私には、バレーボールやバレーシューズ、ユニフォームを集めるツテはなく、同じような支援をすることは非現実的である。今の私にできることは、地道ではあるが年間に一度はダルニー奨学金を通じて、経済的に恵まれていない子供たちの支援を行うことと、学業に励み将来的に、自分の力となりうる知見を身に付けることである。そして、着々と資力を身に付け、自分にできる支援の形を考え、実践できるようになれば、今回、タイに赴き現地の子供たちと交流した経験が意味を持つのではないかと思う。私は、今回限りでこのような支援を終わらせたくないと強く思う。これから先も継続的にこのような支援が行えるように、今、私にできることを着実にこなしていきたい。